小説 二人静7 街なかの明かりが少しだけ減っただろうか。「喜楽」の暖簾が薄闇の中に浮かんで見える。明かりが点いた店内も、先ほどとは打って変わって静まり返っている。清美は引き戸にそっと指をかけ、ゆっくりと開いた。「いらっしゃい」 目の前に赤いエプロンをした店... 2024.06.01 小説