書評

書評

61.『冷静と情熱のあいだ Rosso』 江國香織著 庫 平成13年11月30日10版

『冷静と情熱のあいだRosso』は、先日この場で紹介した『冷静と情熱のあいだBlu』と対を成す物語です。『Blu』はある恋をめぐる物語を男性の視点から描いたものであり、『Rosso』は女性の視点から描いた物語です。本書のあとがきには次のよう...
書評

60.『冷静と情熱のあいだ Blu』 辻仁成著 角川文庫 平成13年11月25日9版

約束。 約束は未来です。約束を交わしたことにより、その時点から約束を果たすべき未来を目指して生活の一部が支配されていくことになります。約束が自分にとっても相手にとっても大切なものであればあるほど、その支配力は強さを増していきます。約束の内容...
書評

59.『螢・納屋を焼く・その他の短編』「蛍」 村上春樹著 新潮文庫 平成22年4月30日52刷

この本は村上春樹の短編集のなかで、私が最も気に入っているものです。しかし、このブログで紹介するかどうかはだいぶ迷いました。その理由は、以前『ノルウェイの森』を紹介したときと同じです。『ノルウェイの森』の紹介で書いた理由をそのまま引用します。...
書評

58.『村上春樹 雑文集』 村上春樹著 新潮社 2011年1月30日発行

少し古い話になりますが、2015年12月31日、大晦日のことです。何かにつけ1年を振り返る機会でもあり、次の年への展望を抱くタイミングでもあります。この年は実にさまざまな本と出会いました。ジャンルはもちろんですが、それぞれの本から受けた影響...
書評

57.『地獄変・偸盗』「地獄変」 芥川龍之介著 新潮庫 令和4年6月20日115刷

私の読書にまつわる習慣のひとつに、「繰り返し読み」があります。その名の通り気に入った作品を繰り返し読むというものです。私が勝手に命名しました。以前、同じ『地獄変・偸盗』に収められた「偸盗」について書きましたが、同じ本に収められた短編でありな...
書評

56.『星を継ぐもの』 ジェイムズ・P・ホーガン著 池央耿訳 創元SF文庫 新版2026年1月23日7刷

私は基本的に、SF映画がとても好きです。SFは文字通りファンタジーということになります。そのなかでも宇宙を舞台にした作品については、地球に住む人類が知る科学的な事実をはるかに飛び越えた、想像の世界に思いを馳せることに胸が躍ります。舞台が宇宙...
書評

55.『ビューティフル・ネーム』 鷺沢萠著 新潮文庫 平成19年1月1日発行

「好きな作家は?」と問われたら、あなたは何と答えるでしょうか。常日頃から考えていないと、うまく作家の名前が出てこないかもしれません。そんなときには「急にそんなこと言われえても、(作家名が)出てこないなあ」などと煮え切らない態度をとることにな...
書評

54.『ウェルカム・ホーム!』 鷺沢萠著 新潮文庫 平成18年9月1日発行

規則やルールを重要視するあまり、それを運用する人間の側に互いに対する思いやりやいたわりをないがしろにしてしまう場合があります。人の心を大切にしないところには良い結果は生まれません。私たちはこの事実を社会生活を営む時間の長さに比例して経験的に...
書評

53.『職業としての小説家』 村上春樹著 スイッチ・パブリッシング 2015年9月24日第2刷

「本の紹介」としてブログにアップするための原稿を書くにあたり、自分自身で決めたルールがいくつかあります。そのうちのひとつに「フィクション」として書かれた作品だけを扱おうという考えがありました。ブログという伝達方法を用いるにあたって、自分の生...
書評

52.『ジャンプ』 佐藤正午著 光文社文庫 2004年4月20日第6刷

「失踪」「遁走」「逃亡」「逃走」「潜伏」その他。事情は様々に考えられますが、自らの意志によって身を隠した人間の行方を捜す物語は、それこそ星の数ほどあると言っても差し支えはないように思います。犯罪者が人々の目をかいくぐり、容疑者として身柄を拘...