小説 百日紅3 運転時間が一時間半を経過したころ、優斗は秋田県の花輪はなわ付近を走っていた。秋田を抜けて岩手に入り、しばらく走ると東北自動車道と八戸自動車道の分岐に差し掛かる。分岐の手前、湯瀬ゆぜから安代あしろまでが難所だ。山が左右に迫っている。吹き下ろし... 2024.08.22 小説
小説 百日紅2 翌朝目を覚ますと、予報通り天候は荒れていた。特に風が強い。積雪そのものは少なく、おそらく十センチに満たないだろう。そのため夜中に除雪作業が行われることはなかった。これならば出勤の際、カーポートから車を出すために雪をかく必要はない。優斗はほっ... 2024.08.20 小説
小説 百日紅1 節分を過ぎるといよいよ春が恋しくなる。しかし、北国の冬はこれからが本番だ。 海峡からの風は重い湿り気を孕はらみ、八甲田の山並みにぶつかって大量の雪をもたらす。大地を吹き渡る風は横殴りに雪を走らせ、視界を真っ白に染め上げることも珍しくない。 ... 2024.08.19 小説