書評 28.『注文の多い料理店』「雪渡り」 宮澤賢治著 新潮文庫 平成16年5月20日29刷 この文庫本の巻末に付された天沢二郎の手になる「収録作品について」によれば、『イーハト-ブ童話 注文の多い料理店 宮澤賢治著』は、1924(大正13)年12月1日、盛岡市の近森善一を発行者、発行者と同住所の「杜陵出版部」と東京の「光原社」とを... 2025.08.03 書評
書評 27.『おおきな木』 シェル=シルヴァスタイン著 村上春樹訳 あすなろ書房 2010年9月30日4刷発行 奥付には「Copyright1964」とあり、この年に出版されていることが分かります。村上春樹の訳によりあすなろ書房から本書が出版されたのが2010年なので、40年以上の長きにわたって世界中の人々に読み継がれてきた作品であることがうかがい知... 2025.07.25 書評
書評 26.『ドイツイエロー、あるいはある広場の記憶』「キャトルセプタンブル」 大崎善生著 新潮社 2005年6月17日発行 シリーズ化されている物語ならば、主人公をはじめとした登場人物の隠された過去や相互の結びつきを少しずつ明らかにしながら、表面上は巻ごとに異なるそれぞれの物語に彼らを取り組ませるような繋げ方が出来るのかもしれません。そして実際に、そのような連作... 2025.07.23 書評
書評 25.『九月の四分の一』「九月の四分の一」 大崎善生著 新潮社 2003年4月24日発行 同性、異性、年齢の上下。出会いから親交が深まるまでの間、相手との関係がどのような形に進展するのかを左右する要素はいくつもあります。複数の要素のうち、より多くの要素が満たされたからといって人間関係が深まるとは限りません。共通点にしろ相違点にし... 2025.06.29 書評
書評 24.『僕が電話をかけている場所』 レイモンド・カーヴァー著 村上春樹訳 中公文庫 昭和63年7月20日10版 短編集です。この文章を書くために私が手元に置いているのは文庫版ですが、巻末には訳者である村上春樹によるあとがきが付されています。これによると、カーヴァーは純粋な短編作家であり詩人です。長編よりも短い文章で読み手の心を揺さぶる力に優れた作家で... 2025.06.23 書評
書評 23.『火車』 宮部みゆき著 新潮文庫 平成22年11月15日第66刷 『火車』は、1992年7月に双葉社より刊行された作品です。現在私の手元にあるのは、1998年に新潮社から出された文庫版なので、出版社名の欄に新潮文庫と書きました。1992年にしろ1998年にしろ、ひと昔を十年と考えると、『火車』はふた昔前の... 2025.06.08 書評
書評 22.『ホテルローヤル』 桜木紫乃著 集英社 2013年8月14日第6刷 第149回直木賞受賞作です。芥川賞または直木賞受賞作だからといって、すぐに作品を手に取って読むという習慣が私にはありません。むしろしばらく時間が経って、ある種の熱が冷めてから読むことにしています。なぜなら何らかの賞を受けた作品だとの先入観か... 2025.05.29 書評
書評 21.『ルリユールおじさん』 いせひでこ著 理論社 2007年3月第4刷発行 今まで秘密にしていましたが、実は、私は大の絵本好きです。 絵本と言えば文章と絵とが併存する書物です。作者の意図や作品そのものによって異なることですが、それは決して子どものためだけに書かれたものではないと私は思っています。何かの拍子に絵本を読... 2025.05.15 書評
書評 20.『放課後の音符(キーノート)』「Keynote」 山田詠美著 新潮社 1989年10月10日発行 先日、仕事を通じて知り合った方と三年ぶりに再会しました。まるで地球を周回する彗星のように、概ね三年を周期とした再会を繰り返すこと四回。彼女とはかれこれ十年を超えるお付き合いです。勝手ながら、もう友人と呼ばせていただいても差し支えないと思って... 2025.05.09 書評
書評 19.『ノックの音が』 星新一著 新潮文庫 平成26年6月10日30刷 同じ目的を果たすために、取ることができる方法にはいくつかあります。 例えば相手に文書を送るためには、手紙やメールという方法が考えられます。私は仕事上、毎日のように誰かとメールの遣り取りをしています。パソコンでメールを打つ際にはキーボードを使... 2025.05.04 書評