『咲く野の日暮れは』「百日紅」

『咲く野の日暮れは』「百日紅」

百日紅2

翌朝目を覚ますと、予報通り天候は荒れていた。特に風が強い。積雪そのものは少なく、おそらく十センチに満たないだろう。そのため夜中に除雪作業が行われることはなかった。これならば出勤の際、カーポートから車を出すために雪をかく必要はない。優斗はほっ...
『咲く野の日暮れは』「百日紅」

百日紅1

節分を過ぎるといよいよ春が恋しくなる。しかし、北国の冬はこれからが本番だ。 海峡からの風は重い湿り気を孕はらみ、八甲田の山並みにぶつかって大量の雪をもたらす。大地を吹き渡る風は横殴りに雪を走らせ、視界を真っ白に染め上げることも珍しくない。 ...