小説 『明日の私』最終章「明日の私」(5) 「おかえり」 美智子の声もいつも通りだったように思う。玄関からドア一枚を隔てたリビングにいるであろう、彼女の様子をうかがい知ることはできなかった。しかし、何もかも日常との違いはないはずだった。 だが、私の目は異質なものをとらえていた。 黒革... 2025.02.28 小説