小説 『明日の私』第1章「夏の失敗」(1) いつも山があった。 晴れていればその姿が一日に何度も視界に飛びこんでくる。激しい雨に空が煙っていても、その形をあるべきはずの場所にいつでも思い描くことができる。見えていてもいなくても、山はいつでもそこにあった。 頂から深く切れこんだいくつも... 2024.11.24 小説