小説 『明日の私』第5章「秘密クラブ」(2) しかし、対岸の集団のなかから、手を差し伸べてくれる者があった。大谷保奈美おおたにほなみだ。 私とは対照的に小柄な保奈美は、森の小動物のような身軽さで駆け寄ってくると私の手を引いた。抜け殻のように力のこもらない体に、不意に一方向からの力を受け... 2024.12.15 小説