小説 『明日の私』第9章「合宿」(11) 私は手の甲でそっと涙を拭った。そして、いいえと低くつぶやいた。「美夏ーっ」 遠くで保奈美が私の名前を呼ぶ声がした。私はつと立ち上がって物干し台の上がり口から廊下に顔を出した。「保奈美、今そっちに行く」 一本の廊下の反対側の端で、私の姿を探し... 2025.01.13 小説