小説 二人静12 月が出ていた。その光が柔らかく清美の体を包み込んだ。 昼間の熱を削ぎ落した風が、火照った頬をそっと撫でた。 街はもう眠りについていた。ところどころに灯が点り、どこからともなく人の声が聞こえてくるが、どれもまばらだ。時折車が走る音が届くものの... 2024.06.06 小説