小説 月見草15 ある夜には溢れる涙をどうにも止めることができなくて、病室のベッドを囲むカーテンのなかで声を殺して泣いた。ふと、誰かの手が柏木の頬を包んだ。驚いて目を開けると、涙の向こうに香織がいた。その目には、柏木と同じ涙があった。温かな涙が、香織の頬を伝... 2024.09.25 小説